⑰インド紀行Ⅱ

この旅で忘れられないことは色々ありましたが、一番は、友人が出来たことです。二日目病院から帰って来たときに、ソファーに腰かけていたサリー姿の女性とのやりとりです。

 

私    「こんにちは。」

ニールさん「こんにちは。」

私    「日本語できるのですか?」

ニールさん「日本に留学していましたから。

      そのパンジャビドレス素敵ですね」 

私    「東京で買ったものなんですよ!

      今、4点購入してきたんです。

      見てくださいますか?」

ニールさん「あら!いいの買いましたね!」

 

色んな話をしているうちに、

 

ニールさん 「うちに朝ご飯食べにきませんか?」 私     「え?お近くですか?

       ご迷惑ではないのですか?」 

ニールさん 「はい。お寺のすぐ裏なんですよ。

       今から行きましょう!」

 

とお誘いを受け、ついていくと本当にすぐ裏でした。

ご家族で住んでおられました。

ご両親、妹さん、弟さん夫婦と3人の子供たち。

 

3階建てのお家です。

住宅の前には、わりとゆったりとして手入れの行き届いた公園がありました。

皆様にご挨拶をして、椅子に腰かけておられるお父様が具合悪そうだったので尋ねると、数年前に脳梗塞をしてそれから具合が悪く医者通いしているとのことでした。

私は、早速こんな仕事しているのですが、「マッサージしてもよいですか?」と聞くと、

「もちろん」とのことで、椅子に座ったままで出来ることをして帰りました。

翌朝、7時に「おはようございます。」

早いよなー。迷惑だよね。と思いながら訪問。

パパさんが迎えてくださり、「ほら!首が動くぞ!」と。「えー?これまで動いてなかったの?」どうりでカチカチの首、肩でした。

いやいや、そんなに喜んでいただけるなら嬉しい!と思い「朝、晩やりましょう~。」と押しかけマッサージャーになりました。

会話は、もちろん英語です。ママさんは、ヒンズーのみ。私のつたない英会話で果たして通じ合えたのかどうかわかりませんでしたが、仲良くしていただきました。 ニールさんの外語大の日本人のご友人は、以前1か月滞在していったのよ~とお母さん笑って話してくれました。 ママさんの朝ご飯は、チャパティとサラダ。台所を覗くとガス台の下に引き出しがあり、その一つにお粉が入っています。横には、チャパティを伸ばすための板。効率よく丸めて伸ばして焼いて、あっという間にチャパティが出来上がります。朝、昼、晩毎食かなりの枚数を焼くのですから、お手間ですよね。日本では、カレーとナンは定番ですが、インドの家庭ではチャパティが定番です。実は、この時初めて食べたのですが、なかなか美味しかったです。毎日の訪問がとても幸せでした。 ニールさんは、会社を経営している社長さんでした。 日本企業への人材派遣、記者、翻訳、通訳、旅行代理店等 妹さんとスタッフ1名。 丁度、テナントを購入され、新事務所をスタートされるとのことで、連れて行って見せてくださいました。これからオープンする大きなショッピングセンターのお近くのビル。2階に2つのテナントを購入されていました。凄い! 事務所は、大工さんがお仕事中。隣の手付かずの部屋に案内してくれ「MIYUKIさん、ここでサロンをやったらどうですか?東京での料金は?駄目ですね。安すぎです。お茶もサービス駄目です。お金を取ってください。インドには、お金持ち沢山いますよ。」まだ大工さんの入っていないお部屋は、本当にきれいになるの?と思うくらい汚かったので、全く想像もつかなかったのですが、インドに年に何回も通えるとしたら、それは心が弾むようなお話でした。丁重にお断りしましたが。 ニールさんは、しっかりとした女性でご自分の意見をはっきりと伝えて下いました。 アーユルベーダのことも。 「日本人は、アーユルベーダーが気に入ったんでしょうけれど、通常の金額よりもたくさん支払ってくれる訳だから、それに合わせて全体的に料金が上がってしまって、我々庶民は思ったような治療が受けられなくなっているんだよ。父も、通っているけれどお薬をもらうくらいで、マッサージなんて受けられないんだよ。」とお叱りの言葉を頂きました。 インドに来る前に、ネットで色々調べましたが、インドではアーユルベーダは下々まで浸透しており、自宅でもオイルマッサージは当たり前的なことが書いてあったので、流石インドー凄いなと思っていたのですが、大変な間違いでした。 路上に座ったり物乞いをする人々がこんなに多いのですから、アーユルベーダどころではないですね。日々生きていくことの方が大事。 私自身も、インド=アーユルベーダ と信じ、ただただ憧れのような気持ちを抱いて来たことも反省しました。 そんなことも踏まえてアーユルベーダを見つめたとき、そう気軽にできることではない気がして、自分の気持ちがどう動くかみつめてみようと思いました。

 

 あと、今回の旅行で素敵なギフトがありました。

それは、写真を撮られることがとっても苦手だったのですが、驚くことに嫌でなくなりました。

独り旅が出来たことで、何かささやかな自信がついたのかしら?

 

 

 

 

 

 

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