2010年夏にお客様より「酵素風呂」なるものが冷えの改善にはとてもよいと聞きました。
私は、子宮摘出をしてからというもの身体は楽になったものの、一年中冷えとの戦いでしたから、一瞬で興味津々になりました。
早速検索してみると、すぐに引き込まれ、どうしても体験したくなりました。
残念ながらお近くには見当たりません。
サロンと同じ沿線だったら通えるかしら?と祖師ヶ谷大蔵にある「酵素世田谷」に目が留まり、連絡先をメモって翌日行ってみよう!と決めて休みました。
さー、当日連絡しようと出かけると、メモが見当たりません。
行きたい気持ちが一番の私は、確か駅からウルトラマン商店街をまっすぐ進んだ所だったはず!と昨夜の記憶を呼び戻しながら電車に乗り込み向かったのです。予約もせずにです!迷惑顧みずです。
さー、長い商店街をテクテク行くとありましたよ~!酵素世田谷!大きな看板ですぐにわかりました。
「おはようございます!」とドアを開けると明るい声でお返事がありました。
「場所を確かめたくて来てしまいました。」
と突然来たことをお詫びしながらお話をすると、店主の菊地さんは、「入りますか?」と快く受け入れてくださいました。
すでにお二人のお客様が入っておられました。
ありがたくドキドキの初入酵です。
米ぬかから手作りで丹精込めて作られた酵素風呂です。
朝一ということもあり、温度は60度ほどあるらしいです。
畳一畳より少し大きな木の桶の中の糠の中に、丁度人一人が入れるように掘って下さり、すっぽり入れていただき、その上に熱い糠をたっぷりとかけてくださいます。
夏の砂浜でよくやる砂山の中に入っているような感じでした。
15分じーっと入って、シャワーで洗い流して終了。
汗もたっぷりと出て、なんて気持ちがよいのでしょうか!
7月の暑い日でしたが、私はささっと着替えて、ストッキングもしっかりと履いて帰りました。普通、汗が引かなくてしばらく着替えられないそうです。
私、とっても冷えてたのね~。汗がそこまで出ていなかったのですね。
その日は午後から夜までお仕事でした。
夜のお仕事をしているときにふと大変なことに気づきました。
私の体は、クーラーが効いたお部屋の中でも冷えることなくしっかりと温かかったのです。
あったかい!!
冷たくない!
どれだけ感動したことか、冷えをお持ちの方ならばご理解いただけると思います。
さー、こうなったら菊地さんが仰るように、最初は週に数回入れるように頑張りたいと思い、仕事の合間を見ては通いました。
馴染みもなく、少し遠いと思っていた祖師谷が妙に近く感じられたのですから、惚れ込む気持ちって大したものですね。
多い時で週3回ほど通ってたでしょうか。
身体は、すこーしづつ変わっていきました。
菊地さんも私も健康オタクですから、話も合って色々シェア出来て通う楽しみも増しました。
そんなある日、酵素世田谷のお弟子さんがLUNAに来てくださいました。
これから酵素風呂を始められる方です。
谷中酵素の伊藤君。
ご自身の末期癌からの復活という大変な経験から、色んな方とご縁が出来て酵素風呂への道が開けた方だと事前に伺っていました。
初回、満面の笑顔でいらしたお姿が今でも忘れられません。
そして、ありがたいことにお姉さんのように慕って下さり、本当に仲良くしてもらいました。
仕事に対する考え方や病気のことも通じるものがあったのでしょうね。
いろんなことを語らいました。
施術に来てくださる時も、「会合に行ってくる。」とご家族に伝えて来てくださっていたようでした。(笑)
とにかく一生懸命な方で、いつも真剣勝負。
そんな彼の作る酵素風呂は力があって、あっという間に繁盛店になりました。
ご自身の闘病の経験から、病気の人達がコミュニケーションをとれる場所が必要だと考えられ、実現された、願いが叶えられた空間でした。
なんとか改善したいと藁をも掴む思いで探して来てくださる方々の道しるべでした。本当に凄い。
最初はご自宅を改装されて一桶で営業されていましたが、そのうちもっと沢山の方のお役に立ちたいと、近くの谷中銀座の入り口にお店を移転され二桶のお店に。
そして、またまたあっという間に予約の取れないお店になりました。
沢山の方が救われていたんです。
皆さま抱えておられるものは様々です。
病気は、肉体のみならず心まで蝕みます。
そんな方々の心に寄り添い、お役に立ちたい、自分に出来ることはなんだろう?
伊藤君の熱い思いがお店の隅々まで行き渡った、居心地のいいお店でした。
そして、ご来店された方は、入酵後谷中周辺の伊藤君推薦のお店に足を運ばれ、谷中商店街にも貢献されていたと思います。
私のところにも沢山のお客様をご紹介下さり、共通のお客様ができて嬉しかったです。
伊藤君にしてもらったことを話したら、溢れるほどたくさんあります。
どんなに感謝してもしきれないほどです。
それなのに、
「もー、なにやってんの?!」
お仕事は楽しくて充実していたのでしょうが、ご自身の体力のキャパとの相談が出来てなかったのかな~?
それとも、そんな先のこともわかっていて、出来る事、やらなきゃならないと思っていたことを全力でなさったかな?
具合が悪くなって、お店を休業して、あちらに逝かれるまで半年。
早過ぎた。
悔しかった!
神様いるの?
お子さんたちもまだ小、中学生なのに!
ご家族はどんなにお寂しくなられたことか。
人の命って・・・。
生きる事って。
病気って。
3月にお見舞いに行ったときに、「ちょっと付き合ってください。」と近くの岡倉天心公園に連れて行ってくれました。
「これが最期かな~?」なんて呟きながら。
公園一杯の真っ白の満開の桜。
毎年見ていたはずなのに、あんなに美しい桜はあの時のあの瞬間の桜だけです。
あの後、毎年伊藤君を偲んで通っていますが、雨だったり散っていたり、満開でもなんか違います。
伊藤君と見た桜にはなかなか会えません。
会えるわけはないです。
輝いていて咲いた僕を覚えておいて!ということでしょうか。
儚すぎるよ!
忘れませんよ!
あんなに信頼できる熱い男はいないから。
忘れられる訳がないです。
私たち仲間のことしっかりと見ててね!
間違っていたら笑って教えてね!
ちゃんとできてたら誉めてね!
そして、どうぞあちらの世界で穏やかでおられますように!
また会いましょうね!
あれから、伊藤君の親友達と毎年飲んで、思い出話に花を咲かせているんだよー!